今月のびっくりどっきりCD
(2003.9.7.)

ハインリヒ・シュルツ=ボイテン
Heinrich Schulz=Bauthen(1838-1915)
≪宗教改革賛歌≫(交響曲 第5番) op.36
交響詩 ≪死の島≫
黒人の歌と踊り op.26
お別れの音楽 op.28


アナスタシア・ジーデルニコーヴァ(org)
アドリアーノ/モスクワ交響楽団
(スウェーデン・ステルリンク STERLING CDS-1049-2)



ドイツ・ロマン派の知られざる佳品
このCDの収録作品は全て秘曲中の秘曲。シュルツ=ボイテンはシレジア出身。ライプツィヒ音楽院時代には同級生にグリーグやスヴェンセンがいた。 年代からいって後期ロマン派だが、ワーグナーやマーラーの路線ではなくてブラームスやブルッフなどと同じく叙情性をたたえながらも構成感を重んじる 作風のようだ。
交響曲は10曲(9&10番は未完成)あり、第5番に当る≪宗教改革賛歌≫はマルティン・ルターの宗教改革350年記念として書かれ、 大編成の管弦楽とオルガンを必要とする作品。などと書くとマーラーの≪第8番≫みたいに巨大なモノを想像してしまうが、実は編成の割には曲自体は 短く20分もない。
曲は4つの部分からなる単一楽章で、第1部は金管の斉奏とオルガンの重低音で壮麗に開始される。第2部に入るとバッハ≪カンタータ第80番≫で、 メンデルスゾーン交響曲第5番≪宗教改革≫(この曲は宗教改革300年記念)でそれぞれ用いたルターのコラール『我らが神は堅き砦』が オルガンで静かに奏され敬虔な佇まいを見せる。第3部は再び第1部の旋律が現われ、続く第4部で先のコラールによるフーガ風の変奏が展開し(ここは凄い) 強烈に高揚して終結する。どうでもいい話だが、この変奏の旋律が『ふるさと』の「わーすれがたきーふるさとー」にそっくりだが、 きっと他人の空似なんだろうなー。

カップリングの曲たちもなかなかの佳作。≪死の島≫アルノルト・ベックリンの絵画『死の島』に霊感を受けて書かれたもの。≪宗教改革賛歌≫の 25年後、晩年の作品だけあってオーケストレーションの美しさや語り口の上手さでは交響曲よりもこちらの方が数段上と言える。ベックリンの絵に 霊感を受ける人は多いようで同時期にラフマニノフレーガーも同名の交響詩を書いている。 ≪黒人の歌と踊り≫はその名の通りでその手の民謡(≪おお、スザンナ≫も入っている)や舞曲をコンパクトにまとめて9曲の曲集にしたもの。 ≪お別れの音楽≫(ドイツ語の原題を直訳すると「告別の響き」でちょっと曲の雰囲気に合わない)は仕事の都合でスイスからドレスデンに引越す事になった シュルツが親しい人たちへの粗品代わりに書いた弦楽合奏のセレナーデ風の愛らしい小品。

それにしてもモスクワ交響楽団・・・どこのレーベルでもアヤシイ(良い意味で)仕事してるな。大体、指揮のアドリアーノって誰? 何故セカンドネームだけなの?芸名なのか?(と言いつつこの人の指揮したCDは何枚も持っているが)


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