今月のびっくりどっきりCD
(2005.1.10.)

フランシスコ・ミニョーネ
Francisco Mignone(1897-1986)

交響的印象≪教会の祭典≫(1940)
シンフォニア・トロピカル(1958)
バレエ音楽≪マラカトゥ・デ・シコ=ヘイ≫(1933)

ジョン・ネシュリング/サン・パウロ交響楽団&合唱団
(スウェーデンBIS BIS-CD-1420)

オーケストラでトロピカル、サンバでもエレガント。
ブラームスの死の年にブラジルに生まれたミニョーネは移民の子。父親の故郷イタリアに留学し、卒業後はブラジル〜アメリカ〜ヨーロッパで 作曲家・指揮者として活躍した。ポピュラーソングや映画音楽をはじめ全てのジャンルに作品を数多く残したが、特にピアノ曲がよく知られているらしい。 自分がこの作曲家の作品を聴くのはこのCDが初めてで、全く予備知識無しに聴き始めた。何しろ買った理由がジャケットの絵が店のCD棚から自分を 呼んでいたような気がした(笑)のと、2曲目の≪シンフォニア・トロピカル≫という凄いネーミングに笑ってしまったから。ただし演奏している オーケストラと指揮者は同じブラジルの作曲家グァルニエリの交響曲全集を同じレーベルに録音している(これも凄いハナシだが)ので 全く未知というわけではない。

ブラジルの作曲家というとヴィラ=ロボスやレヴェルタスのようにいかにもラテンな曲を連想してしまう(それもある意味間違いではない)が、 ミニョーネは西洋音楽の伝統を基本にした堅実な構成にアフリカやブラジルの民族色がほどよくブレンドされた上品な音作りが特徴のようだ。 交響的印象≪教会の祭典≫はブラジルの4つの街の教会の催し物をそれぞれの楽章で描写したもので、例えるならレスピーギの≪ローマ三部作≫の ブラジル版といったところか。色彩的だが上品な響きとツボを押さえた盛り上げ方(終楽章のオルガンは効果的)でそつなくまとめられた作品。 日本でも実演で結構ウケるんじゃないんだろうか。

≪シンフォニア・トロピカル≫は20分弱で単一楽章の曲。ラテン系の交響曲というとジャングル風味満載のチャベスの≪シンフォニア・インディア≫のような どんちゃかしたものを想像してしまうが、この曲はそういった野性味よりはむしろ抒情性や神秘性の表現を主としている。各楽器の音色の精妙な交わりを 注意深く聴いているのは密林に恐る恐る分け入っていくような気分かもしれない。しかしそれでも曲の締めくくりはやっぱり賑やかな踊り。

全曲28分くらいの≪マラカトゥ・デ・シコ=ヘイ≫は個人的に久々のヒット。これは文句無しに面白い。マラカトゥとはアフリカを源とするブラジルの 民族舞曲。シコ=ヘイはアフリカの部族長の名前で、戦争捕虜(のようなもの)としてブラジルに金鉱山で働かされるために連れてこられたが、人一倍 勤勉に徹した結果、晴れて自由を勝ち取ったという。曲はその昔話を素にした切れ目のない9つの部分からなり、それぞれに合唱が加わる(英語の対訳もブックレットに無いので、歌の意味は不明)。緩急のメリハリがついた躍動的な音作りが素晴らしい。終曲は「(たぶん)自由を勝ち取った」ということで、サンバのリズムに のってもの凄い盛り上がりを聴かせる。是非、踊りも加えた実演を観てみたいものだと思う。


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2004.Same.,Fancy Free