今月のびっくりどっきりCD
(2005.7.25.)

アントニン・ドヴォルザーク Antonin Dvorak(1841-1904)

交響曲 第6番 ニ長調 op.60

コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団
(ロンドン交響楽団自主制作盤 LSO-Live LSO0059)

ドヴォさん好きは買うよな、フツー。
2004年はドヴォルザークの没後100周年ということで世界各地でドヴォルザークの作品が頻繁に演奏された。日本でも≪新世界より≫とか≪新世界より≫とか ≪新世界より≫とか≪新世界より≫とか・・・・・・なんでやねん。他にもいろいろあるだろうに。≪ピアノ協奏曲≫なんか全然演奏されてないのじゃないだろうか。 まったく情けないかぎりだが、日本がそんな体たらくでも音楽史上一、ニを争うメロディメーカーのドヴォルザークの音楽が滅びるわけではないので別に構わないが (日本の楽壇は滅びるかもしれないが)。

さてさてさて、その記念の年に英国の名指揮者デイヴィスが取り上げたのが≪交響曲第6番≫。最近デイヴィスはドヴォルザークの交響曲を大体1年に1曲ずつ 番号をさかのぼってプログラムに乗せ、そのライヴ録音がCDとして発売されているがこれは4枚目。自分はドヴォルザークのオケ曲では≪交響曲第3番≫、 ≪ヴァイオリン協奏曲≫や≪チェロ協奏曲≫と並んで特にこの≪交響曲第6番≫が好きでいろいろ聴いているが、その中でもこのCDはクーベリック& バイエルン放送響やドホナーニ&クリーヴランド管のものと並んでベストチョイスに挙げられる秀演といえるかもしれない。

さらにこのCDは他の2枚にはない特色がある。それは第1楽章の主題提示部の反復指定がきちんと実行されていることだ。ドヴォルザークを得意とする指揮者が たとえ全集録音しても≪新世界より≫の反復はするのに≪第6番≫の反復は省略することが多く(反復無しでも全曲が≪新世界より≫よりも長いのでレコード会社が 営業的に嫌うからか)、残念ながらクーベリックも反復はしていない(反復してたら史上最高の盤になっていたかも)。別にソナタ形式においての反復指定は 従っても従わなくても楽典上は間違いではないのだが(「止揚」というドイツ観念論から導き出されるソナタ形式の意味合いからすれば確実にあった方がいい)、 曲によっては印象に大きな違いが生じる場合がある(そのためにベートーヴェンの≪第9番≫やブラームスの≪第4番≫のように最初から選択の余地を 無くしてしまう曲も現れてくる)。ドヴォルザークの≪第6番≫の第1楽章は主題提示部のダ・カーポの際に時間にして15秒ほどのブリッジがあり、 反復しない場合カットされてしまう。ところがこの部分が結構詩情豊かな音楽なのだ。えーと、志摩子さんと乃梨子が桜の木の下で出合った時の感じ? (違うかw)ともあれ、ここを聴けないのはもの凄く損だ。

デイヴィスは遅めのテンポで前半2楽章でオケを思い切り歌わせる。第1楽章冒頭の「タ・ターンタ・タタ/タ・ターンタ・タタ」の基本動機&リズムが 聴き取れるようにmpで演奏されているのもGJ(聴こえない演奏が多い)。例のダ・カーポ部分は精妙で密やか。第3楽章のチェコ由来の舞曲「フリアント」による スケルツォを凶暴なくらいスウィングさせ、第4楽章ではお祭り気分を最高潮に盛り上げる。どんなに音楽がはっちゃけてもロンドン交響楽団の正確無比なアンサンブル (木管が名手ぞろいなので安心して聴ける)とニュートラルな音色が民族色を中和させてノーブルな音の愉悦に仕上げていく。交響曲1曲のみで収録時間46分強だが タワーレコード等で1000円くらいで買えるし、何しろ演奏の質を考えればコストパフォーマンスはいい方なので一聴に値する。 というかこの曲では反復実行しているだけで貴重なので必聴。


どうでもいいことだが
Same.の反復指定を実行して欲しい曲ベスト5

1. シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 D.960 −反復実行をしないピアニストの感性を疑う。
2. ハイドン:交響曲 第90番 ハ長調 −終楽章の反復はライヴだと爆笑必至。
3. モーツァルト:交響曲 第36番 <リンツ> −実は反復実行すると巨大交響曲に変貌。
4. バッハ:管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV.1068 −「序曲」がカッコいいから(笑)。
5. サティ:ヴェクサシオン −本人指定の840回は多過ぎだが、せめて10回はやってください。
*メンデルスゾーンの≪イタリア≫やシューベルトの≪未完成≫も反復して欲しい。


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2005.Same.,Fancy Free