今月のびっくりどっきりCD
(2011.10.14.)


アントニン・ドヴォルザーク Antonin Dvorak (1841-1904)
交響曲 第6番 ニ長調 op.60
弦楽のための夜想曲 ロ長調 op.40
スケルツォ・カプリチオーソ op.66

マリン・オルソップ/ボルティモア交響楽団
(香港ナクソス Naxos 8.570995)


 またこの曲に有力盤登場

 またドヴォルザークの6番かよ(3回目だ)!確かにそうだが、まあ話を聞いてくれ。

 今やすっかり中堅として活躍する女流指揮者マリン・オルソップのドヴォルザーク交響曲シリーズの新盤。オルソップはこれまでに《第7番》《第8番》《第9番“新世界より”》の後期三大交響曲を録音していて、レーベルのアナウンスだとそこで一段落する予定だった。しかし録音は続き、今回は師匠のバーンスタインも録音しなかった(というか東欧の指揮者でもなければそんなに手を出さない)《第6番》である。
 自分はオルソップのドヴォルザーク・シリーズの既発売分は聴いていない。以前のブラームスのシリーズのように最初の1枚はは良かったが後続は割とフツーだった(主にロンドン・フィルのアンサンブルがアバウトすぎたのだが)、なんてことになっていたらちょっとイヤだったので手を出さないでいた(1000円前後のナクソス盤にケチケチするなよという話もあるが)。しかし自分の大好きな曲である《第6番》の新録音を出されたからには聴かざるをえない。結果は大当りだ。

 ここでオルソップが指揮をしているアメリカのボルティモア交響楽団は特にアンサンブルの精度が高いわけでもないが、下手なオケにありがちな濁った響きは無くすっきりしていて軽やかである。軽くてドイツ系の曲の時はどうなんだ、という気がしないでもないが、しかしこの曲においてはあまり問題とはなっていないようだ。兎にも角にも「美しい&楽しい」この曲がやや速めのテンポによって「美しく&楽しく」鳴らされている。ドヴォルザーク特有の土臭さはあまり醸しだされないが、要所要所でクローズアップされる各パートのソロも大事に弾かれていて、詩情が不足することは無い。いわば「都会人が憧れる田舎の風景」という感じだろうか。それにこの曲ではなぜか滅多に行われない第1楽章の反復をこの演奏では実行されていて、これもポイントが高い。前にも書いたが、この楽章には反復しないと省略されてしまう経過部があって、そこが聴けないのは大変もったいない。

 この盤には他に2曲入っている。《夜想曲》は自身の《弦楽四重奏曲 第4番》の中の一つの楽章を弦楽合奏用に編曲した小品で、短いながらもしみじみとした味わいがある。《スケルツォ・カプリチオーソ》は《スラヴ舞曲》や交響曲のスケルツォ楽章の拡大版のような躍動感に溢れた曲で、時折ウィンナ・ワルツのような優雅さも垣間見せるところが面白い。

 次は《第3番》や《第5番》といったあたりをオルソップの棒で聴いてみたいところだ。もっともコリン・デイヴィス&ロンドン響のようにここで終了という可能性がなきにしもあらずだが、しかしできればシリーズの継続を望みたい。



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